ゼンダー(換気空調システム)のフィルターを交換してみた

こんにちは!
新津組 代表の新津です。

パッシブハウス用の全館空調システム「ゼンダー コンフォホーム(Zehnder comfohome)」
我が家で稼働し始めてから約8ヶ月が経ち、フィルター交換のお知らせが出ました。
この記事ではゼンダーのフィルター交換についてレポートしていきたいと思います。

どれくらいの頻度でフィルターを交換する必要があるの?
フィルターの購入方法は?
ダクト式換気のフィルターって実際にどれくらい汚れるものなの?
取り替え作業は大変?

この辺りの疑問に答える内容になっているかと思います。
住宅の性能や換気システムの種類にかかわらず、換気フィルターのメンテナンスはとても重要な要素。
なにかの参考になれば嬉しいです!

ゼンダーを施工する様子はこちらの記事で書いています。合わせてどうぞ!
パッシブハウス施工日誌16 ~ゼンダー(換気・空調)編~

・はじめに:ゼンダーとは?
・フィルター交換の目安
・フィルターの購入方法
・トルネックスのフィルター交換
・フィルターの交換と汚れ具合① 給気(SA)
・フィルターの交換と汚れ具合② 環気(REC)
・フィルターの交換と汚れ具合③ 室内排気(RA)
・フィルターの交換と汚れ具合④ 外気(OA)
・各グリルのフィルターも掃除
・汚れ検知機能をリセット
・まとめ:フィルター交換は忘れずに!

はじめに:ゼンダーとは?


(取付説明書より、ユニット構成図)

正式名称はZehnder Comfohome(ゼンダー コンフォホーム)
パッシブハウス専用に開発された換気空調システムです。
1台で換気・暖房・冷房・除湿・空気清浄ができる機能を持ちます。
室内の温度・湿度・CO2濃度・PM2.5などを感知し、特許取得の制御システムによって、自動で運転を行うことができます。(もちろん手動運転も可能)

日本にはOMソーラーやZ空調などさまざまな全館空調システムがありますが、それらと比較すると高性能建築に最適化したコンパクト&シンプル構成であることが特徴
建物に高レベルの断熱性・気密性がなければ導入することができません。

大出力の運転はできないものの、機能性、省エネ性、静音性など総合バランスに優れています
換気装置の世界的メーカーが開発した最新機器であり、オンラインでのソフトウェア・アップデート機能も備えています。
高性能な割りには、導入価格が一般的な全館空調システムと同等くらいなのもポイントですね。

フィルター交換の目安


(交換時期になるとメイン画面上に赤色の「!」アイコンが点灯する)

基本的には240日間ごとにフィルター交換を行う設定になっています。
実際の交換周期は建物ごとのダクト配置や、外の空気環境、どういう風量で動かしているか、などなど、条件によって変わります。
フィルタ汚れの検知機能があるので、それを見ながら交換時期を判断するのが良いでしょう。
フィルターは4枚あり、交換時は必ずすべてのフィルターを同時に取り替える必要があります。

私の場合は、初回ということもあり240日(8ヶ月)経過ですぐに交換作業を行うことにしました。
フィルター汚れを確認した限りでは、2回目以降はもうちょっと間隔を空けての交換でもいいかな?という感触です。

今回は触れませんが、2年間に1度のペースで熱交換素子のメンテンスを行う必要があるようです。
浴槽で丸洗いし、タオルで水拭きして、再セットしたのち換気モードで乾燥させます。
適切に清掃を行っていれば、熱交換素子は10年間の耐久性があるとされています。

フィルターの購入方法

2024年4月をもって、ゼンダーの販売代理店がタナカホームさんから福岡市のFFFホールディング株式会社さんに切り替わりました。
現在はFFFホールディングさんのウェブサイトからフィルター購入ページに飛ぶことができます。

私が購入した際は、フィルター4枚セットで税込み23,760円(送料無料)でした。
金曜日に注文し、週末を挟んだ翌営業日の月曜に九州から発送。火曜には到着しました。

トルネックスのフィルター交換

本題(ゼンダー)とは少し外れてしまいますが、ゼンダーに手を付ける前に、OA(外気取り入れ口)側に追加設置してある「外気清浄機:トルネックス」のフィルターも交換しました。

ゼンダー側にも外気用フィルターは付いているのですが、集塵性能が極めて高いトルネックスを組み込むことで、室内空気を更にキレイに保つことができます。
ゼンダーのフィルターは使い捨てですが、トルネックスのフィルターは自分で洗って再利用が可能。
トルネックス導入により換気システムトータルでのメンテナンス頻度を減らす、という目的もあります。

外気に直接接しているのが防虫網。これを丸ごと交換します。洗って再利用もできますが、汚れがひどいので古いものは破棄することにしました。
(私の家は周囲に田んぼや林が多いので、小さな虫がとても多い…!)
防虫網はトルネックス公式オンラインショップで1コ税込み1,760円です。

電子式集塵フィルターも新品と交換。
こちらも丸洗い可能。洗って乾かすまでに時間が掛かるので、フィルターを2コ用意してローテーションするのが便利です。
1コ税込み19,800円。

まったく難しいところはなく、初めてでも詰まることなく作業終了です。

フィルターの交換と汚れ具合① 給気(SA)

それではゼンダー本体の4つのフィルターを交換していきます。
コンソール画面で本体の電源をOFFにしてから作業を開始しましょう。
赤色のフタ(=カバープレート)がフィルター部分。フックに指を掛けて真下に引っ張ってフタを外すと、フィルター本体が見えてきます。

画像の上側から順番に、
①SA(給気:室内へ空気を送る)
②REC(環気:室内の空気を取り入れ、給気から再び出して空気を循環させる)
③RA(排気:外へ空気を出す)
④OA(外気:外から空気を取り入れる)
といったフィルター配置となっています。

現バージョンのゼンダーは天井付けでしか設置できないので、見上げた状態で作業を行うことになります。
フタを外す時だけ少し力を加える必要があるものの、フタ、フィルターともに軽量なので、交換作業は力の無い人でも難しくないかと思います。
自宅ではゼンダー本体を露出で設置していますが、天井裏に隠す際に用いる天井カバー(=メンテナンスパネル)はやや重量があるようです。

フタを外してSA(給気)フィルターをアップで撮影。
SAフィルターは4つのフィルターでのうち最大の大きさ。ゴムパッキンが付いているのでフタを外してもフィルターが落下することはありませんでした。
ゼンダー本体にもフィルターにも空気が流れる方向が印字されており、交換時にユーザーがフィルターの表裏を間違えないよう配慮されているようです。

SAフィルターを新品と比較。
取り外したフィルターを見た時には「あれ?あんまり汚れてない?」と思いましたが、新品と並べてみるとやはり汚れが目立ちます

アップにするとこんな感じ。
給気はSAフィルターに加え、RECフィルター or OAフィルターも介す構造になっています。
室内へ送る空気は2重のフィルターを用いて安全性を高めているということですね。
製品スペック表では、フィルターはPM2.5集塵効率85%とされているようです。

フィルターの交換と汚れ具合② 環気(REC)

REC(環気)フィルターの汚れ比較。
RECは室内にある空気の温度・湿度を整える役割なので、一般的な壁掛けエアコンのようなものと捉えるのが分かりやすいかと思います。
環気風量は400㎥/hで、排気風量が200㎥/h、外気風量が200㎥/hです。
RECフィルターの大きさもSAフィルターに次いで大きくなっています。
室内で出たホコリを大風量で吸い込んでいるということですね。

REC(環気)フィルターのアップでこんな感じです。
ここの汚れ方は家ごとのダクト配置で大きく変わりそうです。
RECの近くにソファやベッドがあればホコリが早く溜まっていきそうですが、私の家はそうなってはいないので、あまり汚れはないようでした。

フィルターの交換と汚れ具合③ 室内排気(RA)

RA(排気)フィルターの汚れ比較。
こちらも比較的汚れは少ないようです。
後述しますが、排気はダクトの一歩手前、グリルにもフィルターが付いているのが影響しているのでしょう。

RA(排気)フィルターをアップで。
やはり汚れは軽いようです。
新品と比べても違いがほとんどないくらいですね。

フィルターの交換と汚れ具合④ 外気

最後はOA(外気)フィルター
外から取り込んだ空気は、トルネックスの後にここを通過します。
砂埃・花粉・黄砂・PM2.5・虫など、外気にはさまざまな物質が含まれていますので、ここは気を付けて見たいところです。

OA(外気)フィルターのアップ
予想以上に良い状態です。トルネックスがばっちり効いていますね!

役目を終えたフィルターたち。
各自治体のルールに沿って処分しましょう。
多くの場合は燃えるゴミに出すことができると思います。

各排気グリルのフィルターも掃除

各おうちの間取りやダクト配置によって異なりますが、家には「ホコリが溜まりやすい排気グリル」というのがあります。
※グリル=各ダクトの入口に付けるカバー。フィルター機能や気流の向き、風量が調整できるものもある。

我が家の場合、①リビングからの排気が集中する1階トイレ ②洗濯・乾燥機の直上 ③ウォークインクローゼット内 の3ヶ所が「ホコリが溜まりやすいグリル」に該当します。

これらグリル内のフィルターにはこのように細かいホコリが付着してしまいます。
放置するとRA(排気)の風量が落ちたり、ダクト内やフィルターの汚れにも繋がるため、ゼンダーのフィルター交換とは別に、定期的に清掃する必要があるのです。
私の家の場合は、2ヶ月に一度くらいの頻度で各フィルターを掃除するようにしています。ポータブル掃除機で簡単に吸い取れます。

汚れ検知機能をリセット

コンソール画面で本体電源をONにし、「フィルターのリセット」を行って新しいフィルターの状態を検出します。
「新しい風の割合:11%」という表記がとても分かりづらいですが…。説明書によると「取り入れた外気(OA)のうち汚れているのは11%だけ」と解釈すれば良いようです。
0%にならないのが少し気掛かりですが、「フィルターは正常です!」とあるので良いことにしましょう。

これでフィルターの交換作業がすべて完了しました!
今回は写真を撮りつつの作業でしたが、普通に進めれば5分と掛からず終わらせることができそうです。
ゼンダー(ダクト式換気空調システム)の大きなメリットとして、メンテナンスが本体機器の作業のみで完結する、ということが挙げられます。

ダクトレスの換気システムの場合、家全体を歩き回ってすべての換気扇を清掃する必要が出てきます。
住宅の規模が大きくなるほどメンテナンスを要する場所が多くなり大変です。
仮に自宅をダクトレスにした場合、ざっと10~15ヶ所にはなりそうです。
壁掛けエアコンの場合では、エアコン一台一台を清掃しなければなりません。
これがゼンダーの場合、フィルター交換だけ・5分間だけの作業だけで済むため、メンテナンスの手間は大きく軽減されることになります。
世の中に数ある換気システム・空調設備のなかでもメンテはかなり楽な部類に入るのではないでしょうか。

まとめ:フィルター交換は忘れずに!

記事の内容をまとめます。

・フィルター交換の頻度は240日ごとが基本。(使い方で大きく変わる)
・交換時は4つのフィルターすべてを取り替える必要がある
・フィルターは4枚セットで税込み23,760円(送料無料)
・交換は5分で終わるくらい簡単
・ゼンダー一台のフィルター交換で家全体の換気・暖房・冷房・除湿・空気清浄機能がメンテナンスできる

繰り返しますが、換気システム・空調システムのメンテナンスは、システムの種類に関係なく必ず行う必要があります。
呼吸する空気の質に影響するため、特に高断熱・高気密住宅に住み続ける上ではもっとも重要と言ってもいい作業です。
システムを選ぶにあたっては「無理なくメンテできるか」も意識するのが良いですね。

今回の記事は以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
ではまた。

新津

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