こんにちは!
新津組 社長の新津です。
2022年12月現在、私たち新津組では2件のパッシブハウスを建築中です。
ひとつは、このブログで主に紹介している私の自宅=「佐久平パッシブハウス」。
もうひとつは、パッシブハウス・ジャパン代表理事である
森みわ様の自宅=軽井沢「信濃追分の家」です。
(パッシブハウス認定の申請は建物完成後を予定しています)
2023年1月13日放送の
テレビ東京系列「ガイアの夜明け 寒い冬を乗り越える!~最新版・省エネ生活術~」では、
断熱性・気密性を徹底的に高めた“世界最先端のエコ住宅”として紹介されました。
「パッシブハウスって何だろう?」という方は、
まずこのブログトップの解説ページをお読みください!
今回は、「信濃追分の家」をざっくりと紹介していきます。
工事工程ごとの詳しいレポートは、森様が代表を務める設計事務所、
キーアーキテクツさんのウェブサイトで公開中のようです。
そちらも合わせてご覧ください。
信濃追分の家 概要
建築場所は、その名の通り長野県軽井沢町の信濃追分エリア。
省エネ地域区分は2地域。南面に向けて緩やかに下る浅間山の裾野で、
軽井沢の中心部よりも晴れ間が多い区域です。
建物はほぼ総二階の木造。
建物配置は真南に対して45度振れているという、パッシブ設計には不利な形式。
コーナーガラスを用いた建物角からの日射取得にすることで、暖房需要をカバーしています。
2022年の4月に着工し、2023年の2月末竣工を予定しています。
断熱仕様(壁面構成)
窓は佐久平PHと同じく、山崎屋木工さんの新型「キュレイショナー」を採用。
もともと高断熱の木製サッシでしたが、パッシブハウス用に再設計し更に性能を向上。
この超高性能窓が初めて使われるのが「信濃追分の家」なのです。
壁面構成は、室内側から見て
・クロス等仕上げ
・プラスターボード2枚
・グラスウール40mm
・ネオマフォーム80mm
・構造用合板9mm
・プラスターボード1枚
・ウッドファイバー140mm
・透湿防水シート
・通気胴縁
・杉板外壁
という内容です。
室内側のプラスターボード2枚貼りは蓄熱性能を高めるため。
グラスウールは断熱というよりも防音のため。
室外側のプラスターボードは防火目的。
付加断熱に繊維系断熱材(ウッドファイバー)を使うことで
通気層を介した壁面内部からの湿気の排出がより効果的に行われます。
室内側に気密シートは使っておらず、構造用合板が気密層となっています。
(軽井沢の気候条件で内部結露計算を行い、安全性は確認済み)
充填断熱がボード系、付加断熱が繊維系ということも含め
かなり珍しい壁面構成となっています。
(よく見られるのは充填断熱が繊維系、付加断熱がボード系)
PHPPで計算した断熱性能UA値は、ヒートブリッジを考慮した値でUA=0.25。
軽井沢(2地域)の断熱等級7(最高等級)のUA値は0.20。
日射取得や気密性能、換気性能等を考慮した総合的なエネルギー計算を綿密に行うことで、
断熱等級7に達しなくてもパッシブハウスの基準を満たすことができています。
佐久平と信濃追分の共通点
(上の画像は取り付け前のペレットボイラー)
「信濃追分の家」と「佐久平パッシブハウス」は、
どちらも同時期に計画が行われ、温熱設計は森みわ様が担当。
建築地は車で30分弱の距離にあり、気候条件もほぼ同じ。
そのため、この2棟は共通点が多い建物になっています。
★木製サッシ「新型キュレイショナー」
★輻射式暖房「土壁暖房パネル」
☆基礎外断熱材「発泡ガラスボード」
☆全館空調・換気一体型システム「ZehnderComfohome」
☆木質ペレットボイラー「PFP160」
◯真空管式太陽熱温水器
◯太陽光発電システム + V2H
★:国内初採用
☆:長野県内初採用
以上のように主に設備面での共通項が多い反面、
断熱構成や意匠面、建物形状はまったく異なっています。
省エネ性能は同じでもデザインとしてはさまざまな路線が実現できる。
この2棟はパッシブハウスの自由度の高さを示す好例になっているかと思います。
気密測定の結果は!?
断熱気密工事の完了後、仕上げ工事前に中間時気密測定を行いました。
国際基準の気密測定は、50パスカルで加圧・減圧しての平均値を測定します。
国内では通常9.8パスカルの減圧のみ見るので、より厳しい条件での測定ですね。
気になる結果は、なんとC値=0.055!
隙間相当面積C値は少ないほど気密性能が良く、1.0以下が望ましい数字、
可能であれば0.5以下を目指すべきだとされています。
(厳密なC値の定義では、小数点第2位を切り上げなのでC値=0.1ということに)
実はこの数値、50パスカルの加圧でも隙間を検知できず、
100パスカル近くまで圧力を高めてやっと測定できた結果であります。
超高気密住宅!
パッシブハウス認定に必要な漏気回数では、基準値が0.6回のところ
0.19回という、これもまた素晴らしい結果となりました。
壁面の気密シートを使わずこの数値が出たのは
ひとえに現場監督と大工さんの頑張りのおかげですね。
おつかれさまでした!
おわりに
今回の記事は以上となります。
「信濃追分の家」はパッシブハウス・ジャパンの会員向けに
これまで何度も見学会が開かれています。
会員であれば完成後も見学の機会が多く予定されているようです。
個人の住宅ですので一般向けの見学会は難しいかもしれません。
代わりにと言っては何ですが、共通点の多い「佐久平PH」では
完成後の一般向け見学会も定期的に行う予定でいます。
ぜひ、このブログと私のツイッターをチェックしてみてください!
国内初の要素たっぷりのパッシブハウス「信濃追分の家」。
完成すれば佐久・軽井沢エリアがますます盛り上がるかと思います。
最後まで安全第一で工事を頑張ります!
新津
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