こんにちは!
新津組)代表の新津です。
私の自宅=佐久平パッシブハウス(予定)の工事について紹介していく施工日誌シリーズ。
第15回目では建物内部をつくる「造作工事・内装工事」についてレポートします!
強力な断熱・気密内での作業になったため、さまざまな面でパッシブハウスのメリットを感じながらの工事となりました。
今回もぜひ最後までご覧ください。
過去の施工日誌は以下のリンクよりご覧いただけます。
施工日誌01 概要編
施工日誌02 地盤調査編
施工日誌03 地盤改良編
施工日誌04 鉄筋工事編
施工日誌05 基礎・コンクリート工事編
施工日誌06 基礎断熱・発泡ガラスボード編
施工日誌07 土台敷き・基礎内断熱編
施工日誌08 建方(建前)編
施工日誌09 充填断熱編
施工日誌10 付加断熱編
施工日誌11 屋根工事編
施工日誌12 窓工事編
施工日誌13 気密測定編
施工日誌14 外装工事編
造作~内装にかかる工期
床フローリングや壁紙など、暮らすうえで直接見て触れるところを作るのが「内装工事」。
その内装の下地を作るのが「造作(ぞうさく)工事」です。
これらの工事は、建築全体の工期でかなり多くの割合を占めます。
一般住宅で全体工期の約30%ほど。6ヶ月の工期の場合、約2ヶ月が造作・内装工事に必要になります。
デザインが複雑だったり、特殊な仕上げ材を使う場合、更に長い時間が必要になることも。
佐久平PH(予定)では、上棟直後の2023年2月から、竣工直前の7月まで、約6ヶ月を費やしました。
(職人さんを他の現場に優先して回したりと、さまざまな事情があったせいでもありますが…)
断熱・気密を高めると工事も楽になる
画像は、断熱・気密工事と気密測定が終わった後、3月28日の室内温度。
この日の外気温は5℃でしたが、室内は無暖房で12℃をキープしています。
もちろん、昼間の日射で更に室温は上がるため、大工さんたちは暖房器具を使わずに済むのです。
室内の工事は工期が長くなりがち。
その期間をより快適な状態で過ごせるようになり、灯油代の節約にもなる。
作り手から見たパッシブハウスの大きなメリットですね!
配線胴縁
断熱・気密層のある外壁部分には、「配線胴縁」を施工します。
その名前の通り、電気配線を通すためのスペースです。
気密層の内側に胴縁で1層分を作ってあげることで、誤って気密を破ることを防止できます。
細かな気密処理が不要になり、電気配線の自由度もアップ。
胴縁厚さの30mmだけ外壁が室内側に食い込むことになりますが、メリットは大きいのでオススメの工法です。
石こうボードの二重貼り
配線胴縁の完了後は、石こうボードを2枚重ねて貼っていきます。
以前の記事でも解説しましたが、石こうボードの二重貼りは建物の蓄熱性能を手軽に高めることができます。
棚などの家具が取り付く場所は、家具を支える下地となる合板が必要です。
上の画像は下地合板と石こうボード二重貼りの箇所が分かりやすいですね。
床工事
リビングのフローリング材は、人気の高い無垢オークを選定。
幅200mm、厚さ20mmの幅広ヨーロピアンオークです。
箱のように見えているのは、造作のコンセントボックス。
フローリングの一部を持ち上げて電気コンセントを使えるように仕込んでおきました。
断熱・気密ラインは基礎下なので、床面は自由にいじることができます。
土間部分には600mm角のタイルを使います。
当初は信州産の鉄平石を使う予定でしたが、予算の問題もありタイルへ切り替えました。
窓横にタイルを使うことで、冬の日射エネルギーを蓄熱し、床の日焼けも気にせずに済みます。
浴室工事
浴室にはTOTOのハーフユニットバスを採用しています。
浴槽から下はユニット方式で、床部分の防水性を確保。
壁・天井は自由に作ることができるので、デザイン住宅に多く用いられる製品です。
壁の中に見えている袋入りグラスウールは断熱目的ではなく防音目的。
浴室・トイレ・寝室などの周囲をグラスウールで囲むことで防音性能を高めることができます。
突き詰めればもっと色々なやり方がありますが、低コストで効果も十分なので弊社では標準仕様としています。
壁、天井の下地は在来浴室(非ユニットバス)と同様に。
屋根にも用いられる改質ゴムアスファルトルーフィングで防水処理を行います。
仕上げはヒノキの板張り。
通常、浴室に木を使うと黒カビの発生を心配するところですが、そこはパッシブハウス。
換気計画によって浴室の湿気を速やかに逃がすため、ヒノキの乾燥を保ちカビを防止できる見込みです。
この建物では浴室天井に全熱交換型第一種換気のRA(Return Air=還気)ダクトを配置。
浴室の湿気は換気システムを経由し、夏は屋外に排出され、冬は室内へと拡散していきます。
鉄骨階段工事
吹き抜けリビングにはアイアン階段を設置します。
細く作ることができ開放感があるため、吹き抜けとの組み合わせで良く使われる鉄骨階段。
ですが、実際に歩いてみると揺れやたわみが気になることがあります。
今回はそれを防止するため、踊り場部分から支柱を床下へ伸ばし基礎コンクリートで支えて安定させました。
基礎コンクリートを外側から断熱材で包む基礎外断熱工法であるため、鉄骨が熱橋になることもないのです。
性能を高めることでデザインや利便性が増す一例ですね!
階段横には壁一面の本棚を設置して、階段に座りながら読書ができるように。
パッシブハウスなら室内の温度が均一なので、室内のどこでも居場所として使えるようになります。
なお、本棚の棚板には突起を付けて本の落下を予防しています。
クロス工事
壁紙は弊社初採用の「漆喰クロス」。
紙クロスに漆喰を塗ったもので、職人さんも初めて見るという建材。
薄くて凹凸がほとんどないため、下地の不陸をモロに拾ってしまいます。
そのため丁寧なパテ処理が必須となりますが、仕上げは自然でとても良いです!
クロスの切れや破れは室内の温度変化・湿度変化が原因であることも多いです。
温湿度が安定しているパッシブハウスであれば、デリケートな壁紙も安心して使えるかと思います。
天井工事
天井は杉板貼り仕上げ。
画像左側に見えるのは2階の個室で、個室の天井裏はダクトスペースとして使っています。
大きな吹き抜けに付きもののシーリングファンは、今回使っていません。
断熱気密性能が高く、換気ダクトの配置を工夫しているため、シーリングファン無しでも大空間の空気を十分に循環できる見込みです。
天井面にノイズとなるものが少なく、美しく見えますね。
造作・内装工事ひと区切り
天井が仕上がり、内部足場も解体されました。
木製サッシ(キュレイショナー)と内装が調和した、良い仕上がりです!
この後もドアや家具の取り付けと並行して内装工事が進んでいきますが、今回の記事はひとまずここで区切りとさせていただきます。
あとは、トイレや給湯器などの設備機器や照明器具を設置し、通水・受電して動作チェックができれば竣工となります。
施工日誌レポートも、残すは2~3回ほどでしょうか。
ついにゴールが見えてきました…!
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回もよろしくお願いします!
新津
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