こんにちは。新津組 代表の新津です。
これから家づくりを始める方、もう既に始められている方、
皆さんさまざまな情報収集をしていらっしゃるかと思います。
ネットであればYoutube、SNS、家ブログ。
リアルであれば住宅展示場、工務店のセミナー、友人知人の口コミなどでしょうか。
その中でも信頼のおける情報源としてオススメなのは、やはり「本」です。
そこで、私が実際に読んでみた本のうち「これは良い!」と感じたものを
シリーズ仕立てにしていくつか紹介させていただきます。
令和時代の「持続可能」な最新住宅論
今回紹介するのは、2020年8月出版の「エコハウスのウソ2」です。
2012年から続く「エコハウスのウソ」「増補改訂版」の続編ではありますが、
「2」単独で読んでも全く問題ありません。
著者は東京大学の前(まえ)准教授。
科学的事実をもとに、公平中立な視点で「快適な家を建てるにはどうしたら良いか」を
具体的な性能値や工法を交えながら解説しています。
本書の特長として、住宅について語る本であるのに、
本を半分以上読み進めてからでないと住宅性能などの話が出てこないこと。
それまでは地球環境や原発、太陽光発電や蓄電池などのエネルギーの話。
今やエネルギーと住宅は切っても切り離せない関係であるということですね。
住宅についての内容が薄いかというとそういうことは全くなく、
膨大なデータが整理されてまとめられており、一種のデータベースのような濃さがあります。
イラストやグラフを交えて分かりやすく書かれてはいますが、
全てを読み切って理解するのはかなり時間が掛かるかも知れません。
最初は興味のある章から読み始めるのも良いでしょう。
基本的知識が全て網羅されているため、読破することで
住宅知識を令和最新のものにアップデートすることができると思います。
日本の建築基準を決定付ける一冊
2021年2月24日に河野行政改革担当大臣や国交省、経産省や
有識者の出席のもと、今後の国の建築基準を話し合う会議が行われました。
Youtubeのライブ配信で一般にも同時公開されています。
https://youtu.be/3tsyOZo0upk
この会議で、前准教授が本書をベースとしたプレゼンを行っています。(動画37分頃から)
現在の省エネ基準の設定は不十分なものであり、基準の引き上げと義務化を強く求めました。
それを受けて、河野大臣は「脱炭素はもはや世界と日本の大前提。
住宅規制の省庁を国交省から環境省に変える必要もあるのではないか」という話をしています。
その後、何度かの会議を経て、2025年に新築住宅での省エネ基準適合義務化と
更なる省エネ基準の引き上げ(2022年に省エネ等級5、6、7の新設)が決定しました。
結果的に「エコハウスのウソ2」は、日本の建築基準に大きな影響を与える形になったと言えます。
そういう意味でも読んでおいて損はない本でしょう。
オススメの活用方法は?
とは言え、本書はその内容の濃さもあって、
家づくりを考え始めたばかりの初級者がいきなり読むにはハードルが高いのも確かです。
そこでオススメの活用方法は、最終章で著者が言う通りに
「この本を家づくりの業者に見せて反応を見る」というものです。
本書で記す内容はもはや常識で、それすら知らない作り手は危ないよ、ということですね。
なお、私たち新津組では、住宅事業部の全員にこの本を配布しました。
最新知識への更新をこれ一冊で行うためのマニュアルとしても大変優れています。
この本を一番読むべきなのは実は私たち実務者なのかも知れません…。
今回のお話は以上です。
情報に溺れてしまったら、ぜひ基本や常識に立ち返ってください。
そんな時に最適の一冊でした。
では次回もよろしくお願いします。
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