こんにちは!
新津組)新津です。
近年「日本の家は寒い」という認識が一般的になりつつあります。
海外先進国に比べ、基準となる断熱性が大きく劣り、断熱の義務化もされていないのが原因のひとつですね。
(2025年からやっと断熱義務化スタート)
「断熱性能」と同様に家の寒さに大きく関わり、海外では義務化されているのに日本ではされていないものがもうひとつ。
それが「気密性能」です。
今回のブログ記事は、日本と海外先進国の気密性能について書いていきます。
各国の気密性能基準ランキング!
ではさっそく各国の基準を見ていきましょう。
データ元は、一般財団法人 住宅・建築SDGs推進センター「住宅の気密性能試験方法」より。
JIS(日本産業規格)で定められた気密測定方法のテキストより引用しました。
C値の良い順に並び替えて表にしています。
気密性能を表す指標は各国で異なります。海外では「通気量」や「漏気回数」が主流。
このランキングでは日本で一般的な「相当隙間面積(C値)」に換算しています。
また、基準値が複数存在する国については、その中で最も厳しい数値を記載しました。
どの指標も、数値が小さいほど家の隙間が少なく・抜ける空気も少なく、高気密な家だと言えます。
日本は12ヶ国中10位となりました。
1位のデンマーク、オランダはC値換算で0.6。
ドイツやノルウェーがC値1.0。
日本はアメリカと同等でC値2.0となっています。
気になるのは12位のイギリス。
C値11.0と極端に悪くなっていますが、もしかしたらデータ元の翻訳ミスかもしれません。
(C値換算する前の通気量の桁をひとつ間違えている?)
日本の建物の実際の気密性能は?
上のランキングはあくまで基準値。
日本の「C値2.0」というのは「寒冷地の新築住宅で最低限望ましい値」を示したものです。
現在の日本では住宅の気密測定は義務付けされていません。
推奨値が2.0でも実際の数値はそれよりずっと悪いことが想定されます。
なお、2000年に国内60件の木造在来住宅を対象に行われた調査では、C値は1.3~9.8。
平均値で5.3という結果だったそうです。
20年前の調査ではありますが、日本住宅はかなりの低気密ですね…。
C値2.0は妥当なのか?
上記ランキングの日本基準であるC値2.0。
JISテキスト記載の数値ではありますが、私個人としてはこれはまだまだ甘いと考えています。
BIS(断熱施工技術者)テキストでは、北海道などの寒冷地ではC値1.0が望ましいとされています。
木造在来住宅の気密化施工は今や一般化された技術で、公的な工事マニュアルも豊富にあります。
セオリー通りに施工すればC値0.5程度は難しくありません。
そう言った意味でも、高気密住宅と言えるのはC値0.5以下が目安かな、と思います。
ちなみに、弊社で施工した2つのパッシブハウス「信濃追分の家」「佐久平PH(予定)」は、どちらもC値0.05を記録しています。0.5ではなく0.05です!
漏気回数(ACH)では、パッシブハウス基準が0.6回/hのところ、両者とも0.3回/h以下となりました。
海外先進国と比べても、パッシブハウス基準がいかに厳しいのがお分かりいただけるかと思います。
おわりに
今回の記事は以上になります。
すべて海外を見習う必要はないかと思いますが、日本住宅の気密性能が弱いのも事実。
新築を建てる際は、ぜひ気密測定を行ってC値0.5以下を目指していただきたいと思います。
ではまた!
新津
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